(ハル)(1996)

パソコン通信を通じて知り合った男女が、メールのやり取りをするうちに愛を育んでいく模様を描いた、新感覚の恋愛ドラマ。映画のかなりの部分をパソコン通信のディスプレイ上に打ち出されるメールによる文字=字幕が占めるという野心的な実験が試みられている。監督・脚本:森田芳光。キャスト: 内野聖陽 、 深津絵里 、 戸田菜穂

(ハル)(1996)のあらすじ

(ハル)というハンドル名でパソコン通信を始めたばかりの速見昇(内野聖陽)は、映画フォーラムで知り合った(ほし)と名乗る男と、メールのやり取りをするようになった。ふたりは、お互いの顔も名前も知らない気安さから、悩みごとなどを相談するようになっていく。盛岡に住んでいるほしは、実は自分を男と偽っているOL・藤間美津江(深津絵里)だった。メールを重ねるうち、ほしは自分が女であることをハルに告白するが、ふたりの関係は崩れることはなかった。ある日、ハルは(ローズ)というハンドル名の女性(戸田菜穂)と知り合い、実際に会って何度かデートするようになっていた。ところが、ローズは恋人というよりも妹という感じで、ハルは今ひとつ深い関係まで踏み切れない。一方、転職を繰り返していたほしは、仕事先で知り合った山上という男に結婚を申し込まれたが、山上にはほし同様に恋人を亡くしたという過去があり、そのことを忘れないために愛情のない結婚をしようという彼の申し出を、ほしは受け入れられなかった。ある日、ハルは出張で青森に行くことになり、ほしは新幹線のハルに向けてハンカチを振る約束をする。当日、線路沿いの田んぼに立つほしと新幹線の車中のハルは、互いにハンカチを振る相手の姿をビデオに収めながら、一瞬だけの対面を果たすのだった。しかし、ほしの妹・由花が帰省して部屋を訪ねて来た時に、妹がローズというハンドル名でパソコン通信をやっていることがわかり、ほしはショックを受けた。ハルは、ローズと会ったその日にホテルへ行ったと、ほしに嘘を教えていたのだった。ローズがほしの妹だと知ったハルは、あわてて本当のことを伝えるが、妹が自分よりはるかに簡単にハルとの時間を共有していたことが、心に引っ掛かってしまったほしは、ハルにメールを出すのをやめてしまう。しかし、メールのやり取りで知らないうちにお互いを支えあっていたことに気づいたほしは、再びハルにメールを送り、ふたりは、もう一度最初から互いの関係をやり直すことにした。そして、ほしはハルに会うため東京へ出かけることを決意し、東京駅のホームで待ち合わせたふたりは、「はじめまして」と最初の言葉を交わした。

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